ごあいさつ
てづくりサーカスを開催していて作り手さんと作品作りの話になった時によく「個性はどうやって出すのか?」と聞かれる事があります。
確かに作り手さんの多くが悩む問題のひとつとして「個性の表現法」というものがあります。
「わたしが作るものは素材からこだわっているし、全部オリジナルで個性的よ☆」とおっしゃる方も多いと思いますが、個性をどう出せばいいのかという悩みを持つ作り手さんも多いです。
ここでは自他の「他」も認めるような個性のある作り手さんの
「ここが個性!」という部分を運営事務局・肥後の独断と偏見で紹介するコーナー。
題して「今月のピカイチさん」を今年、2018年の4月より月に1度、全10回で更新していく予定です。
このコラムを見ていただき、作り手さんの抱く「個性とは何だろう?」「どうやったら表現できるんだろうか?」「人と違う事ってどういうこと?」という疑問の答えにはならずとも、何かの手がかりになれば幸いです。
※私が思う「個性」は、その人以外に全く例がないというわけではなく「多くの方が見て個性的だと思うかどうか」という事を基本と考えます。
(もちろん特許庁からの認可があったり本当に特別な物もあります)
コンセプトとしては見る人の大多数が「個性的である」と認められるものであれば、活動の仕方しだいで作り手や自身のブランドとして生きていく事ができるという考えをもとに「個性」と表現します。
第10回 今月のピカイチさん
最後にご紹介するピカイチさんは「るいこ堂」さんです。
スタイリッシュにぶっとびたい!
とインスタグラムにはいきなりのブランド紹介のるいこさん。
最初にお会いしたのは6年くらい前、京都の手作り市でお会いしたのですが、印象は「個性」というか「衣装」やん!でした。
ずっと服飾の業界で制作をされた後独立。
スタイリッシュにぶっとんだ服や鞄などの作品を世に出し続けています。
デザインがおもしろいだけでなく作りもしっかりしており、お子さんだけでなく親子でも楽しんでもらえるような夢のある作品達です。
今年は百貨店や個展の他、展示会などでひょっこり出店されています。
遠くから見てもわかる個性の塊です。
見かけたらぜひ楽しい世界をご堪能ください。
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◆約一年にわたり、ほんの一部ですが私が個性があると感じた作り手さんを紹介させていただきました。
ご自身で何かを作ろうと思った時、何かのヒントになれば幸いです。
まだまだ紹介したい作り手さんはいますが今回はいったんここまでとしておきます!
またいつか「未来のピカイチさん」にご期待ください!
お付き合いいただきありがとうございました!
番外編
ピカイチさん第10回の前に番外編として「変」という時計のブランドを紹介いたします。
デザインできるところを全てデザインするという腕時計のブランドです。
ただ時計を作るということではなく「アートウォッチ」というジャンルを作ろうと、全国に出店しています。
作品の他に什器やパッケージにもこだわっています。
日本だけでなく自然に海外に進出するような作り手さんが増えていくと楽しいなと思います。
それではまた来月
第10回のピカイチさんにご期待ください!
第9回 今月のピカイチさん
今回ご紹介するピカイチさんは「IamDAN」さんです。
天使になりたい悪魔の子「DAN」というキャラクターを中心とした世界観のある作品を制作している方です。
最初にお会いしたのは4年ほど前。
てづくりサーカスに出店いただいたのがきっかけでした。
DANという作品を作って販売するという事ではなく、DANが住む世界を中心に色々なキャラクターがいてお話が広がっていくような「もの作り」ではなく持つ方に楽しんでもらえるような「独自のストーリー」を作っている方だなと思いました。
出店いただいた当時はまだ数回しか出店経験がないとの事でしたが、キャラクターも然る事ながら、お客様へのアピール、打ち出し方、パッケージがしっかりしていて、出店し始めとは思えないほどとても見やすく伝わりやすい展開をされていました。
今年の秋、パリに出店されたときには言葉の違いやコンセプトである「悪魔の子」という表現が宗教的な観点から使用しない方がいいという指摘を受けるなど、色々な壁を乗り超え「独自のストーリー」を世界に伝えていっています。
全国の多くの方に知っていただき、さらなる活躍を期待したいと思います。
全10回で紹介してまいりましたピカイチさんも残り1回となりました。
次回のピカイチさんにもご期待ください!
第8回 今月のピカイチさん
今回ご紹介するピカイチさんは「SmiPle」さんです。
主に木工でいろいろな仕掛けのある知育玩具を制作している作り手さんです。
今回紹介するのはハンドルを廻すとモチーフの上の動物たちが色々な動きをする作品です。
お会いしたのは去年の夏前てづくりサーカスに出店いただいた時で、まだ独立したてで数点のみを展示されていましたが僕は
「この人はこれから面白いものができるんじゃないか」と感じました。
SmiPleさんは今までの知育玩具ではなく本格的な機構やモチーフが動く仕掛けをお子様自身で組み上げ、大人も一緒に楽しめるような作品を安心できる素材を使って制作されています。
ひとつひとつの仕掛けや作りに面白さがあり、どうやってこんな仕掛けができるのだろうと、よくよく話を聞いてみたら独立するまでは車の機構を作るお仕事をされていたのだとか。
モチーフの中のカムと呼ばれるギア部分が自分で変更でき動きを楽しんだり、上に乗っている人形が変えれたり、飽きずに親子で楽しめ、お子様が大きくなってもオブジェとして鑑賞できる完成度の高い作品たちです。
作品一つの制作にとんでもない時間がかかってしまうため出店は少なめのようです。
てづくりサーカスにもぜひまた出店いただきたいと思います。
4月から掲載してきましたピカイチさんも残すところあと2回。
次回もピカイチさんにご期待ください!
第7回 今月のピカイチさん
今回ご紹介するピカイチさんは「監」(KAN)さんです。
真鍮を主な素材としてアクセサリーを制作している作り手さんで、独特な雰囲気を持っています。
最初にお会いしたのは8年くらい前。
当時は学生さんで京都のイベントにお友達と共同出店していて、作品の「かんざし」を見てこれは個性のある作り手さんだなと感じました。
監さんの個性だと思うところは作り手の感覚です。
昔からブース作りも簡易ではなく個性が出ており雰囲気で監だなとわかります。
主観ですがこの「ピカイチさん」ページ下部にある個性の3つのタイプでは、間違いなく①に当てはまる作り手さんです。
そしておもしろいと思うポイントのひとつは「からくり」作品です。
「身に着けるからくり」という触っても楽しい作品は、様々な作り手の数あるアクセサリーの中で監はとても魅力的です。
その分とても手間と時間がかかる難関の多いであろう作品たちですが、次はどんな作品を作って見せてくれるのか毎回楽しみです。
学生の頃は舞台関係の制作もされており事務局も看板作りなどでお世話になっています。
たまにてづくりサーカスにも出店していますので見かけたら監ブースを体感してみてください。
(今回は「監」さんを紹介しながら、ついつい「かん」という言葉を多発してしまいました、)
ではでは来月!ピカイチさんにご期待ください!
第6回 今月のピカイチさん
今回ご紹介するピカイチさんは「森の人工房 Orang de Utan」(以下おらんで)さんです。
主に革を使用した作品とオリジナルのハンコを二人組で制作されている作り手さんです。
今回は艶っツヤした革作品を紹介していきたいと思います!
最初にお会いしたのは7年くらい前、関西のイベントで発見し
何?革?にしても、つくり(?)が普通じゃないなという印象でした。
それ以来色々なところでお会いするようになりました。
以前にてづくりサーカスにも出店していただいております。
ホームページにも記載がありますが全て独学で制作されており、なんとも言えない独特な色とクセになる可愛さがあり、「あーかな?こーかな?」と思考錯誤しながら楽しく制作をされている感じが伝わってきます。
「おらんで」さんのような作り手にお会いすると思うのは、特殊なものを除けば「技術は独学でも習得できる」という事です。
基本がなくても作り続ければその人の色がみえてくるという事を実感して「こんなもの作る人がいるんだなー」と楽しくなります。
「おらんで」さん制作のハンコはネットショップでも購入できるようです。
(ついでみたいな紹介ですみません!)
ホームページやフェイスブックもぜひチェックしてみてください!
ではまた来月、ピカイチさんにご期待ください!
第5回 今月のピカイチさん
今回ご紹介するピカイチさんは「ありんこ天国」さんです。
今回は「あからさま!」というくらい個性をおもちの作家「ありんこ天国」さんを紹介します。
ホームページを見ますと最初に
「わたくし女王蟻兼働き蟻である上原亜理(うえはら あり)の妄想天国」
とあり妄想天国というに相応しい世界が展開されています。
関西を中心に百貨店や全国のアートイベントで活躍されています。
最初にお会いしたのは・・・もう15年くらい前になります!
京都の手作り市でお会いしたのですが―その頃から異色を放っておられました。。
生地からご自身でデザインされており
というかどう見てもオリジナルにしか見えない生地です。
生活雑貨と言っていいのかジャンルでいうとそうなるものやパーカー、鞄や首巻なども制作されています。
独特なホームページも必見です。
この夏は、ありんこ天国の世界に浸々ってみてください。
では来月こそ艶っ艶のピカイチさんにご期待ください!
第4回 今月のピカイチさん
今回ご紹介するピカイチさんは「Hozumi KABAN」さんです。
鞄をメインに革で色々な作品を作るブランドで男気のある作り手さんがひとつひとつ丁寧に制作しています。
数年前に手作り市などに出店している時に出会い、今は全国の催事に出店されています。
メインの鞄の説明をする前に、姉妹ブランド「ナチュカ」で制作されている小物を紹介したいのですが、なんといいますか、デザインに「艶」があります。
作り手さんの独自の世界観はもちろんあるのですが、それだけではない「艶」があると感じます。
特に革小物は同じ革を使っていてもどこか大人の艶っぽさを感じます。
メインの鞄ですが特徴はなんといってもこの斜めのファスナーライン。
この形を見ればホズミカバンだ!とわかります。
立体裁断でファスナーを縫う事は素人目で見てもなかなか難しそうだと感じます。
そこに加え、お客様の聞き腕に合わせ「右掛け、左掛け用」にそれぞれ制作をされており、ポケットの数やカラーもオーダーできます。
お客様に寄り添う姿勢、心意気を感じます。
他にもホズミカバンさんは革だけに拘らずご自身のセンスで海外から持ち手の紐を取り寄せたり、ゴブラン織りを使用したり異素材を合わせて作るところも魅力の一つです。
これからも囚われない作りや独自のアイデアでお客様を楽しませてほしいと思います!
ではでは来月も艶ッ艶のピカイチさんにご期待ください!
第3回 今月のピカイチさん
今回ご紹介するピカイチさんは「うみまゆ」さんです。
長年彫金のお仕事をされていた方で現在は独立し、ジュエリーベースのアクセサリーを制作しています。
見た目も笑顔も濃い群馬のおじさんで話すととても愛嬌のある作り手さんです。
作品に長年培われた技術と技がちりばめられているのはもちろんのことですが、ジュエリーではあまり使用されない「貝」をテーマに制作されていおり、色々な貝を削り、磨いて自由自在な形に仕上げていきます。
シェルでアクセサリー作品をつくる方はいますが、「うみまゆ」はうみまゆさん独自の世界観と確かな技術の上で完成する作品が売りです。
初めは手探りでイベント出店されていましたが現在は大手の百貨店催事などで活躍されています。
たまに当イベントにも出店されますのでその時にはぜひ独自の世界を楽しんでください。
一般的に個性というのは「オンリーワン」や「唯一無二のもの」と重くとらえられがちですが、ここでいう個性は作り手さん個人が思う「作品のアピールポイント」や「作品のチャームポイント」と捉えて考えるといいのかもしれません。
まずは難しく考えずに自分の作品のアピールできるポイントは何だろう?
いくつあるだろうか?
それはオンリーワンではないけど十分なアピールポイントになるのではないか?
など、作品を見たり出店している時の風景を思い出しながら考えてみるのもいいかもしれません。
そこにはご自身でも気付かなかったオンリーワンが隠れているかもしれません。
ではまた来月もピカイチさんを見てくださいね!
第2回 今月のピカイチさん
今回ご紹介するピカイチさんは「木楽本舗」さんです。
寄木細工を長くされている方で当初は木を彫って帽子やブローチなどを制作されていましたが、僕の言葉では表現できないほど様々な技法で寄木作品を制作されています。
着色は一切せず銘木の自然の色合いを生かしたアクセサリーをはじめ、バターナイフやスプーンを制作していますが驚くべきは樹木に対する深い興味と知識。
樹木の話になると愛着と人柄の良さがにじみ出ます。
しかしそれだけではどこがピカイチさんなの?ということになりますよね。
寄木細工をされている作り手さんで金属や天然石等の異素材を使用して制作される方は何人かいます。
もちろん木楽さんも天然石などを合わせて作品を作ることもありますが、作品の中でこれはおもしろい!と感じたのは「カーブさせた寄木」です。
ポテトチップスのようにカーブさせたようなもの(表現悪いですが率直にそう思ってしまいました)から、螺旋状にカーブしたものまで、大きさも様々でほとんどがリバーシブル!
木楽さんの性格とは逆(?)で裏表があるんです!(表現悪いですが率直にそう思ってしまいました!)
そこにとどまらず進化を続け一昨年前に完成したのが螺旋のオブジェです!
初めてこの作品を見た時に樹木好きの木楽さんのDNAが具現化されて出てきたような感じがしました。
作りの繊細さと大胆なボリュームで見る人を魅了します。
一見の価値アリですが――この作品は木楽本舗の裏メニュー。。
ほとんど毎月出店いただいておりますが滅多にお目にかかれません、、
「持ってきてよーー見たいよーーーお願い木楽さん!」と、今回は心の叫びで締めさせていただきました。
ではまた来月のピカイチさんでお会いしましょう!
第1回「今月のピカイチさん」
最初にご紹介するピカイチさんは「pao na miu」さんです。
裁縫を長くされている方で、当初はクマやゾウなどを制作されていましたが、だんだんヤモリやオオサンショウウオやウミウシなどを制作されるようになったようです。
作品のモチーフも個性があるのですがpaoさんの魅力は作りの拘りと生地やボタンのセンスです。
ここにこんな柄の生地を使うの!?っと毎回びっくりなところや
生き物の指先までしっかり作り込むだけではなく、中身や握り心地まで拘っている、生地や針仕事が好きなだけではないpaoさん独特の世界があります。
次はどんな作品を作ってくるんだろうと楽しみになります。
paoさんは西宮神社のてづくりサーカス開始から出店頂いている作り手さんです。
お申し込みの時に頂いたカメレオンの写真がとても印象的で、イベントを始めて最初に「この人どんな作り手なんだろう?会ってみたい!」と思った方です。
最初の頃は机もテントもない状態で出店されていて、僕が雨男のせいもありビニールカバーをお貸ししたりでした。
そんなpaoさんも今は全国を飛び回り活躍されている作り手さんです。
ツイッターやインスタグラムもされてますのでチェックしてみてください。
ではまた来月!
「個性」に関わる作り手さん3つのタイプ
今まで接した作り手さんと個性に関わるお話になった時、大まかではありますが以下の3つのタイプにわかれると感じました。
①何を作っても個性がでる人
②個性を理解し個性を出す人
③個性があると思い込んでいる人
この3つのタイプをもとに特徴やそのタイプの方が直面しやすい壁や壁を超えるためのヒントを感じたままですが書きたいと思います。
①何を作っても個性がでる人
①のタイプの方は何をやるにも自分が出てしまうタイプの方が多く、作り手としては個性を出しやすく、やり方を間違えなければ大成しやすいタイプです。
◆特徴
生まれつき独自の感性を持ち、人との関わりも個性的で一人でもやっていけそうと思われますが、作り手として純粋に生きていくうえで窮屈さや孤独を感じている方も多いです。
(本人は気付かず周りの人が「あの人大変だろうな」と感じる事もある)
◆壁
個性的な表現で魅了できる反面、対人や価格、経営面で悩む事が多いです。
◆壁を超えるためのヒント
このタイプの方は若い頃に社会に出、もまれた経験が多いほど、日本では大成する可能性があると思いますが、長年作りに専念されていたり、社会にもまれた経験が少ないと感じる方は、ご自身を客観視できるよう自分の見えない部分を写す鏡になるような人を身の回りに置く事ができれば、見えなかったものが見えたり胸のつっかえが取れたりする事もあります。
そういった方との対人思考をできるだけ柔らかくすることも大事です。
鏡になる人と向き合ううちに悩みながらも色々な選択肢を発見し、視野を広げると、納得できる結果が出せるようになってくると思います。
②個性を理解し個性を出す人
②のタイプの方は自分ならどうするか、どうしたいかという考えと共に、相手にどうアピールすればうまくいくかを考え個性を表現するタイプです。
◆特徴
社交性があり、ある程度客観視できる方も多く、作品の打ち出し方もうまいです。
◆壁
①に比べ大成するというよりは、日々生きていけるくらいの成果で落ち着き、そこから抜け出せない、大きな挑戦をしたくてもなかなかできない方が多いと思います。
◆壁を超えるためヒント
直感というより経験や知識から学ぶことが多いので、やらない後悔よりやった後悔、考えた結果ダメだった時のリスクが深刻なものにならないのであれば挑戦してみるのもいいかと思います。
③個性があると思い込んでいる人
③のタイプの方は自分や作品には個性があると思い込んでいたり
そうなりたいと考えている方。
◆特徴
自身では「自分しか作っていない」「ウチでしかやっていない」と作品をアピールしますが、周りの方は「そんなことないんじゃないかな」と思っていたり、自信のなさから販売時にオンリーワンと言ってしまう方もいます。
◆壁
自分自身では全く気付かず「ウチでしかやっていない」という方もいますが、自覚していて個性がないと突っ込まれないようにバリアを張ってしまったり、強がってしまい、たまに後悔したり、方法や発想で躓きがある方もいると思います。
◆壁を超えるためのヒント
大前提として③タイプの方の思考がダメということではなく、①の方と比べても個性が大切である事は十分認識していると思うので、根本的に自信のない所を改善していく事が大事だと思います。
慎重に物事を進めたいと考える方も多いので、まず視野を広める努力と、個性への理解を深め、自分にしか出せない本当の個性を追求できれば自信がつき成功にもつながると思います。
ご自身が個性を武器としたモノ作りをされているとすれば、どのタイプが近いと感じたでしょうか?
私個人の経験ですごく大雑把に三分したので、「どれも当てはまらないよ」という方ももちろんいらっしゃると思います。
もし近い部分があれば、何かの参考にしていただければ幸いです。